弁護士と面談しなくても大丈夫?
弁護士との面談できれば避けたい!
「借金について問題を抱えているけれど、弁護士と会うのはちょっとハードルが高い。」「できれば人に知られたくないから、誰にも会わずに片付けたい。」「そんな時間が作れない!」など、さまざまな理由で、債務整理について弁護士との面談を避けようと考える人がいます。
しかし、面談をしないで債務整理の処理を行うことは原則禁じられています。そんな中、面談を行わないで、債務整理を引き受けてくれる法律事務所が存在するのも確かです。しかし、そこには大きなリスクとデメリットがあります。
そのリスクやデメリットをきちんと理解せず行動すると、さらに状況が悪くなる可能性が大いにあります。その前に、債務処理における弁護士との面談の重要性とメリットについてきちんと理解し、リスクやデメリットを抱えず、安心できる環境の中で問題を解決していくことが大切です。
面談することが必要な理由
弁護士との面談を行わないリスクとデメリット
メールや電話での相談は、わざわざ会わずにもっと簡単に債務処理ができそうだと魅力を感じたり、面談による時間や手間、経済的、精神的な負担を負うことを避け、手軽に簡単に行える方法を選びたくなったりする人も多いと思います。昔、過払い金の返還での相談が増加した時期がありました。
その時期に、その手続きの効率と利益を求め、それらを最優先する法律事務所が増えました。その効率を求める際に、面談や情報共有の時間を省く方法がとられ、そのことによるトラブルや被害は拡大し、大きな問題となりました。直接会って話をしないと、細かな情報も伝わりにくいため、間違って話が伝わってしまうリスクがあります。
また、弁護士など話を聞く側も、いくら気を付けていても間違って話の内容を受け取ってしまう可能性も大いにあります。悪意がなくても、債務の手続きが自分の希望するものではなくなってしまうことが多いのも事実です。また、事務所によっては、現在行われている手続きの状態をきちんと公開、説明してもらえず、過払い金も戻っていないケースや、とても高い請求金額を提示されるケースなどもあります。
このように面談を行わないことは、債務整理の中で大きなトラブルの原因となっています。このようなトラブルは、面談を行わないことから生じるリスク、そして大きなデメリットです。このことからも分かるように手軽さを選んだつもりが、さらに問題を抱えてしまうことになります。そのため、面談を行わないことには大きなリスクとデメリットが生じることをきちんと理解することが大切です。
面談を行う重要性とメリット
まずは電話やメールで問い合わせることから始まることも多いと思いますが、重要な話はやはり直接会って面談をすることが大切です。なぜなら、直接会って話をした時と電話やメールで話を伝えた時とを比べると、相手に伝わる情報量にやはり大きな差が出ます。
直接会う場合には、言語的な情報に加え、非言語的な情報も多く加わるため、伝わりやすくなり、情報量が増えるのです。また、話をしながら相手の反応を見ることができます。その中で理解してもらえていないと感じる時には、細かな情報を付け加えることも自然と行うことができます。また、信頼関係もきちんと顔を合わせることで構築していくことができます。
直接会って話すのは、隠したい気持ちや恥ずかしいという気持ちが生まれる可能性もあります。しかし、面談を行うことは、自分の未来のために現在の状況を具体的に変える行動をとっていくという意思の構築と表明の第一歩になります。それはとても重要なことであり、その後の債務整理をする過程の中で本人にとっても大きなメリットになります。
債務整理における面談の義務
「債務整理事件処理の規律を定める規程」
弁護士は、それぞれ自分の報酬金額を自由に設定することができます。ですから、依頼する人との話し合いによって具体的な報酬の金額を決めることができます。しかし、債務整理と過払い請求において、弁護士の一部の人がこの権利を使い、妥当ではない報酬の金額を請求するケースが出てきました。
そのため、2011年2月に日弁連は臨時総会を行い「債務整理事件処理の規律を定める規程」を作りました。その中で、債務整理において弁護士が得られる報酬の上限や、面談の義務を決めるなど、新しいルールを作りました。
債務整理には面談が義務づけられている
「債務整理事件処理の規律を定める規程」の中で、面談を行わないことによるさまざまなトラブルから債務者を守るため、債務整理には弁護士の面談が義務づけられました。そして、その面談にはいくつかのルールがあります。まず、依頼者に事件を処理する際の方針や、利益のあることも不利益となることも全て説明する責任があります。(規定第4条)
また、直接その事件の手続きや処理を行わない弁護士の面談を禁止し、原則として依頼を担当する弁護士が個別面談を行い依頼する人の事件の話を聞かなければいけません。(規定第3条)面談は住んでいる場所が遠いことは理由にはなりません。
そして弁護士が受け取る報酬について明らかにし、分かりやすく説明することが求められています。(規程第5条、第6条)また、依頼を受けた弁護士の氏名などは明らかにするよう指示されています。(規程第7条)また、過払い金の請求の際、その過払い金だけ整理して、ほかの借金について整理をしないことの依頼は、原則として受けられません。(規程第8条)
なぜなら、全体の債務を整理しないと、取り返しのつかないことになり、結局解決を得られなくなるからです。そして、弁護士は、担当した事件の手続き処理の規定が定めている事柄について、依頼した人に報告するようになっています。(規程第17条)万が一弁護士との間でトラブルが起こった時のために、弁護士から面談などで受け取った書類(清算書、委任契約書、報告書など)必ず一つにまとめて保管することが大切です。
この法律の重要性
これらの法律がないと、現在の借金額、そこからいくら減額されるのか、また和解の金額についても、弁護士がその情報を掌握していくことになるので、妥当な金額の報酬ではない金額を請求する弁護士の増加がこれからも起こってしまう可能性が高いからです。
また、面談をしないことに関しては、すぐ法律に触れるわけではないのですが、どうしても難しい状況を除き、お互いを守るために必要です。ですから、その事実を知っているにもかかわらず面談せずに債務整理の手続きを行おうとする弁護士は、依頼者の権利や利益、将来についてよく考えてくれているとは考えにくいため、依頼するのはとても危険であるといえます。
弁護士との面談で必要なものは?
本人確認ができる身分を証明する書類(運転免許証、保険証など)、債権者リスト一覧、印鑑
書式は裁判所のホームページで確認することができます。その書類を入手することが難しい時には、借り入れをしている業者別に、債権者の名前、住所や電話とFAXの番号や、最初に借りた日と金額、また現時点での債務の金額、月々返済している金額と利用目的などを分かりやすく一覧にしてまとめておくことをおすすめします。印鑑は、委任契約をする時に必要なため持参するように指示されることが多くあります。
借り入れをしている消費者金融のカード類(クレジットカードなど)、金銭の貸し借りに関する書類
業者にカードを返すよう要求されることがあります。任意の整理を行うと、カードが使えなくなるためです。そのことを考え、面談する時には、弁護士や司法書士がカードを使用できないようハサミで切りこみを入れるなどした上で預かっておくことがあるからです。また、金銭の貸し借りに関する契約書や請求書や領収書も準備しておくとよいでしょう。
収入が確認できるもの(銀行の預金通帳や源泉徴収票など)
銀行の預金通帳や源泉徴収票、給与証明書や所得証明書の他にも、財産が存在する場合は、それらに関係している書類の提出を要求されることもあります。例えば、不動産や生命保険、退職金などです。そのため、不動産の登記簿謄本や生命保険証券、退職金の金額がおおよそ分かる書類などを準備しておくこともおすすめします。
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