債務整理の必要性
なぜ債務整理に罪悪感を持ってしまうのか
この世の中には、借りたお金はちゃんと返さなければという思いが強く、お金を返さないことへの罪悪感を持っている人もいるようです。かたや借金を帳消しにするといったことに全く罪悪感を持たない人もいます。また、債務整理についての印象で借金が減るのはいいけど、怪しくないのか?と考える人もいるでしょう。
しかし債務整理は経済的な困窮から起こりうる犯罪や家庭崩壊などの防止や、公共の秩序維持の観点からも必要な手段です。決して罪悪感を持つ必要のない国が認めたものです。もし債務者が罪悪感を持たなければならないとしたら、借りるときに罪悪感を持たなければならなかったのかもしれません。もちろんお金を借りたものは当然返さなければならないのは当たり前です。
しかし返済能力が、すでになくなっているのにもかかわらず、債務整理への罪悪感を持っているとしたら、少しでも債務整理について学習しておく必要があるでしょう。作ってしまった借金は仕方のないことですが、その返済のために新たな借金を作ることで更に問題が大きくなってしまうこともあります。債務整理に関しての知識があれば、そうした安易な行動を起こさずに冷静な判断ができることもあるでしょう。
借金苦とうつ病の二重苦にならないために
借金してしまったことは後悔しても仕方ありません。返済しきれないほどの借金になってしまい、その苦しみによる不安やストレスでうつ病を発症してしまうこともあります。そしてうつ病などの精神疾患にかかれば、場合によっては仕事もできなくなってしまいます。お金を返さなければならないのに、返せないという悪循環に陥ってしまい、精神的ストレスで病気が重くなる可能性もあります。
この場合借金苦とうつ病という二重苦を背負ってしまうことになります。こうなるとうつ病の治療と同時に借金の解決も行わないと問題は解決していきません。ですからとりあえず、借金を減らすことでうつ病の治療にも役に立つはずですから、そのためにも債務整理に罪悪感を持たずに専門の弁護士や司法書士に相談するべきでしょう。
特にすでに支払能力がなくなって返済に困っている人は、すぐにでも債務整理を考えた方がいいでしょう。借金をそのままにしておくことで、当たり前ですが利息によって借金はどんどん増えていきます。借金を放置することで「自己破産」という最終手段を選ぶしか選択肢がなくなってしまいます。そうならないために少しでも早く債務整理することをおすすめします。
債務整理のメリットとは
債務整理の種類はいろいろとあって、そのほとんどは利息をなくしたり、利息を低く設定しなおしたりして返済しやすくする方法です。ですからお金は返さないわけではなく、お金を返しやすくしていくことですから、債務者にとっても債権者にとっても決して悪いことではありません。
債務整理の種類には、自己破産・個人再生・任意整理・特定調停といった方法があります。債務整理によって借金をゼロにできるのは自己破産だけであり、他の債務整理は、借金を減らすことによって数年で返済する方法です。今回は債務整理の中でも罪悪感を持たずに行える方法として、「任意整理」を中心に解説していきます。
債務整理の中で最も簡単な方法が任意整理
任意整理の特徴
債務整理の中で、あまり罪悪感を持たずに債務整理ができる方法が任意整理といわれています。他の債務整理である自己破産や個人再生が裁判を行うのに対して、任意整理は裁判を行わずに借金の整理が簡単にできるからです。また任意整理は自己破産や個人再生と違って、必要書類がほとんどないことが特徴ですからその分、債務者にとって負担もかかりません。
任意整理というのは弁護士や司法書士に依頼することで、消費者金融などの債権者側に交渉してもらいます。任意整理をすることによって「とりあえず返済をストップできる」、「利息制限法により借金の引き直しと利息を下げることができる」といったメリットがあります。任意整理は裁判をしませんから制限も少なく、気持ちの上でもあまり負担のかからない債務整理の方法ではないでしょうか。
任意整理に必要なものとは
任意整理は弁護士や司法書士に依頼してすすめるのが一般的ですから、色々と提出物が必要になります。
- 必要書類(保険証、免許証、パスポートといった身分証明書が必要になります。また法律事務所によっては住民票、給与明細、源泉徴収票、を求められる場合もあります)
- 印鑑(法律事務所が委任状や契約書を作成するために印鑑が必要になります)
- クレジットカード、キャッシュカード(クレジットカードやキャッシュカードは、ハサミを入れて貸金業法や返還するために法律事務所に提出します)
任意整理は家族に知られる?
任意整理することで、家族から疑われることはほとんどないですが、法律事務所から届く郵便物を家族に見られたりするのを防ぎたいときは、法律事務所からの書類は直接事務所に取りに行くことで解決します。また貸金業者から督促状が届く前に、なるべく早く受任通知を貸金業者へ送ってもらうことです。
任意整理のデメリット
任意整理は裁判をしない分、債権者に対しての強制力があまりないといったデメリットがあります。弁護士や司法書士により信用情報機関に任意整理歴が登録されることで、5~7年ほど新たに借金ができないこともあります。また、最近は貸金業者が以前と比べて低い利息で貸し付けているため、任意整理での減額の効果があまりない可能性もあります。
任意整理以外の債務整理
特定調停とは
特定調停とは内容的には任意整理と同じで、利息制限法での借金の引き直しと利息のカットを申請します。弁護士や司法書士といった専門家には依頼せずに自分で裁判所に出向いて、債権者側との話し合いで調停裁判をすることをいいます。
任意整理では弁護士が債務者の代理人として債権者と交渉するのに対して、特定調停は裁判所が仲裁となって和解への成立を支援します。特定調停のメリットは自分で債権者側と話し合いをするため、弁護士等の専門家に支払う成功報酬金などを払う必要がなく費用が安く済みます。特定調停のデメリットとしては、
- 裁判所に提出する書類等を作成しなければならない
- 理想通りに返済額が減らない
- すみやかに督促が止まらない
- 裁判所は平日のみであり暇がないと不可能
といったことがあります。
自己破産とは
自己破産は裁判所での手続きによって、認められれば負債が全額免除される債務整理の1つの方法です。しかし自己破産にはデメリットも多く、ほとんどの財産は、債権者に配分するか没収されます。借金でどうしようもなくなった人の最終手段といえます。
自己破産は2つの申立てが必要で、それは破産の申立てと免責の許可の申立てで、それらを併せて行います。免責の許可が降りることで初めて借金が免除になります。自己破産の手続きが開始すると、家や車など20万円を超える価値のある財産は全て換価処分されます。
また、99万円以下の現金と20万円以下の預金、生活必需品などは債務者の生活を保護するために換価処分対象とはなりません。自己破産により借金が免除されても、保証人がいた場合は当然その保証人に返済が要求されます。
個人再生とは
個人再生は自己破産と任意整理の中間的な方法といえるかもしれません。減額される借入額は任意整理などよりは大きくなり、残りの借金額は、おおよそ5分の1ほどになります。個人再生の手続きは裁判所で行い、減額された債務額を3~5年で返済します。
また自己破産のような持家や車、財産の没収はありません。住宅ローンがある場合は、そのローンを払いながらの返済となります。また保証人になっていない限りは家族に迷惑がかかりませんし、家族がローンを組む場合も悪い影響もありません。