債務整理って何？家族にバレる？債務整理の基礎を確認

そもそも債務整理とは

借金に困ってしまったらどうする？

多くの人はできることなら借金はしたくない、と考えているのではないでしょうか。借金をすることなく日常生活を送ることができるに越したことはありませんが、中には借金をせざるを得ない状況になってしまった、さらには借金をしたおかげで助かったという人もいます。

借りたお金はしっかりと返済しなければいけません。しかし、返済するだけの十分な余裕がないために、返済に困窮してしまうケースも決して少なくありません。借金の返済に困った場合の助けになるのが債務整理です。

債務整理は借金を減額するための手段

債務整理とは、借金の返済に困窮している人たちを助けるために定められた法的な手段のことです。借金をしている人は、司法書士や弁護士を代理人として債権者と交渉し、利息のカットや、返済の過程で払いすぎた利息の返還、借金の減額などを行います。

借金の返済中に返済が滞ると債権者から催促の電話や電報などによって取り立てられるのが一般的ですが、債務整理の手続きが開始されるとほとんどの債権者は取り立て行為を行わなくなります。これは、債務整理が法律によって認められたものであり、債務整理開始後に正統な理由なく取り立てを行うことは法律で禁じられているためです。では、債務整理は具体的にどのような方法で行われるのでしょうか？

債務整理の4つの手段

債務整理の手続き7には、大きく分けて（1）過払い金請求、（2）任意整理、（3）民事（個人）再生、（4）自己破産、という4種類があります。これらの手段の詳細については、後ほど紹介します。それぞれの方法に特徴があり、同じ債務整理といってもどの手続きを選択するかによって、借金の状況は大きく変わってきます。ここでは、ひとまず債務整理には4つの手続き方法が存在していて、それぞれの特徴は異なる、ということを覚えておいてください。

債務整理のメリット・デメリット

債務整理に伴う不安

借金の減額や利息の減額、場合によっては借金返済の義務が免除される、など借金返済に困窮している人の大きな助けとなる債務整理ですが、利用にあたって不安に感じる人もいるかもしれません。

「内緒でしていた借金の存在がばれてしまいそう…」「家族や会社に債務整理したことがばれて、離婚やクビに繋がらないか心配…」「債務整理した後の生活で困ることってあるの？」など、債務整理に伴うデメリットはあるのでしょうか？そこで、ここでは債務整理のメリットとデメリットについて紹介します。

メリット

債務整理を行うメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

• 借金が減る、もしくはなくなる
• 債務整理を依頼した時点で、返済の督促がストップする
• 手続きによっては誰にも借金や債務整理がバレることがない
• 不安の軽減
• 過払い金が発生した場合は、自身の手元にお金が戻って来る可能性がある

会社や家族にバレてしまうことを不安に感じている人も多いかもしれませんが、手続き方法によっては誰にもばれずに、債務整理を行うことができます。また、高い利子でお金を借りていた場合などは過払い金が発生し、多めに払ったお金は手元に戻ってくる可能性もあります。なにより、借金による不安を軽減することができるので、日常生活を過ごしやすくなる、という精神的なメリットを享受することができます。

デメリット

メリットがあれば、デメリットも存在します。債務整理の主なデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

• 手続きに費用がかかる（弁護士や行政書士に対する費用）
• 債務整理を行ったことが信用情報に残る
• 選択する手続きによっては、周囲に債務整理をしたことがバレる

費用に関しては、ある程度仕方のないものだといえます。また、周囲にバレることに関しては、先ほども触れているようにどの手続きを選択するか、によります。ここで注意して欲しいのは、信用情報についてです。

信用情報とはいわゆるブラックリストのことで、例えば債務整理をした事実があると、クレジットカードの作成や新たな借り入れを行うことができなくなるほか、ローンも組めなくなる可能性があります。これらができないと生きていけないというものではありませんが、大きな買い物をしたり、大金が必要になる買い物がしにくくなったりすることが予想されます。

4つの手段の概要紹介

どの手段を選べばいいのか？

ここからは、先ほど少しだけ触れた「過払い金請求」「任意整理」「民事（個人）再生」「自己破産」という債務整理にかかわる4つの手続きについて紹介していきます。それぞれの特徴を把握した上で、自身に適したものを選ぶようにしましょう。

過払い金請求

過払い金請求とは、借金返済の過程で本来支払う必要のないお金（過払い金）を貸金業者から返してもらう手続きをすることです。過払い金は金利が高かったり、お金の貸し借りの取引期間が長かったりすると発生することがあります。債務整理というと、借金の軽減するものというイメージを持っているかもしれませんが、過払い金請求も債務整理の一種です。

借金や金利によって手元に戻ってくる金額は変わりますが、数十万円、百万円といった金額が戻ってくる場合もあります。過払い金請求は借金の返済中はもちろん、すでに借金を返済している場合でも行うことができます。自分には関係ないと思っていても、実際に確認してみると過払い金があったというケースも少なくないため、気になったらまずは弁護士などに相談してみてもいいかもしれません。

任意整理

任意整理とは、貸金業者と交渉して借金の減額や金利の見直しなどを行う方法です。交渉が成功すれば毎月の返済額を減らすことができるので、生活に余裕を持たせることができます。また、任意整理の手続きを進める過程で先ほど紹介した過払い金が発覚するケースもあります。

もし過払い金があることがわかったら、任意整理とあわせて過払い金請求を行いましょう。「任意」という言葉がついているように、この手続きは債務者と債権者の間で任意で行われるものです。債務者が交渉を申し出たとしても、債権者はその交渉に応じる義務はありません。

一方で、裁判所などを介さない手続きなので、うまくいけば周囲の人たちにバレることなく、手続きを行うことができます。このあと紹介する自己破産などの場合、財産の処分に関する取り決めがありますが、任意整理はあくまでも任意なので、財産の処分などをすることなく手続きを行うこともできます。

民事（個人）再生

民事再生・個人再生とは、借金の返済が難しいことを裁判所に認めてもらい、借金の額を減らしたうえで、3〜5年の時間をかけて少しずつ返済していくというものです。具体的には以下のように借金額が減少します。

100万円未満→減額無し（そのまま全額返済）

100万円以上500万円未満→100万円に減額

500万円以上1,500万円以下→債務総額の5分の1に減額

1,500万円を超えて3,000万円以→300万円に減額

3,000万円を超えて5,000万円以下→債務総額の10分の1に減額

このように、民事再生・個人再生は借金の額を大きく減らすことができるのが大きな特徴です。一方で、手続きの過程で配偶者の収入書類が必要になるケースがあるほか、平日の昼間に裁判所に行くことになるため、家族や会社に怪しまれる可能性があり、バレる恐れがあります。

自己破産

自己破産は、借金の返済をするための財産がなく、支払いができないことを裁判所に認めてもらうことで、借金の支払い義務を免除（借金がなくなる）してもらう手続きのことです。一番の特徴は借金がなくなり、自己破産後の収入は全て自分の生活費にすることができる点にあります。

一方で、家や車、預貯金の差し押さえが発生するので、家や車を手放すことになるかもしれません。借金の保証人に家族がなっていない限りは家族にバレることはありませんが、家が差し押さえられたりすると、結果的に債務整理がバレる可能性は十分にあります。

債務整理の基本情報まとめ

今回は債務整理について、その基本情報を紹介してきました。債務整理をしたらそのあとの人生がどうなってしまうのか、不安に感じている人もいるかもしれませんが、手続きをしっかりと行えば、その後の人生をより良いものにしていくことができます。今回紹介したことは以下のとおりです。

• 債務整理とは借金の減額、金利の見直し、過払い金の返還などを行うためのもの
• 債務整理には大きく分けて4種類の手続きがある
• 手続きによっては家族にも会社にもバレないものもある
• 債務整理によってブラックリストに入る可能性がある

多くの人が不安に感じている「バレないか」ということに関してはしっかりと手続きを選べば大丈夫です。また、その後の生活もクレジットカードや借り入れができないなどの一部制限がありますが、生きていけないというものではありませんし、債務整理をしたとしても働き続けることもできます。

なによりも、借金返済に伴う心身のプレッシャーを和らげることができます。もし、借金返済に苦しんでいる人がいたら、債務整理を検討してみてはいかがでしょうか。