債務整理について
債務整理とは
債務整理とは抱えている借金を廃止または減額、返済期間の延長などを行い、債務者の借金返済を緩和させる手続のことを言います。債務整理は本人のみでも行うことはできますが金融に関する知識はもちろん裁判所に申し立てなどを行う必要がある為、通常弁護士や司法書士を介して手続きを行います。それだけ専門的知識が必要となる、ということです。
また借入している業者からの合意も必要となる為、本人自らは行い辛い部分もあるでしょう。また債務整理は手続きに時間を要します。短くて数カ月、長ければ3〜5年という時間をかけて行います。債務整理はそれだけ根気を要する手続きなのです。
債務整理には4種類存在する
一口に債務整理と言っても、その手続きには
- 任意整理
- 特定調停
- 個人再生
- 自己破産
という4つタイプが存在します。それぞれのタイプにより手続き期間も異なる為、万が一債務整理を行う場合には予定している手続きがどの程度期間を要するものなのか、把握しておくことが肝心です。
手続きによって必要期間が異なる
任意整理 3〜6ヶ月
任意整理とは分割で支払う約束をして和解を貸金業者と結び、金利を利息制限法の上限金利(15〜20%)まで引き下げ、借金を再計算する手続きを言います。総量規制法が施行された2010年6月18日以前は、貸金業者は現在の上限金利となる20%を上回る高金利で貸付を行なっていました。
その高金利を現在の金利に引き下げて再計算する手続きが任意整理です。任意整理はあくまで借金を減額して完済することを目的とします。現在テレビやネットの広告でよく見かける「過払い金請求」とは目的が異なる為区別されますが手続はほぼ同じ内容となります。
任意整理にかかる手続き内容(和解〜返済開始まで)3〜6ヶ月程度。ただし支払い期間を含めると3〜5年。通常は3年(36回払い)となりますが5年(70回)というコースも存在します。債務整理の中では比較的軽度の手続きとなりますが、借金が帳消しとなるわけではありません。返済には根気が必要となります。
特定調停 3〜4ヶ月
特定調停とは任意整理同様、金利を再計算し借金を減額したり、支払い期間を延長する手続きを言います。任意整理との違いは、任意整理は弁護士や司法書士が債務者と債権者の間に入るのに対し、特定調停は簡易裁判所が間に入る、とういう点です。
特定調停は簡易裁判所に出廷しなければならない他、簡易裁判所へ提出する申立書は勿論その他関係権利者一覧表や財産の状況を示す明細書が必要となり、これらを全て本人が用意・作成しなければなりません。
それに過払い金があった場合でもそれが債務者本人に返還することが出来ない為、過払い金が発生していた際にはデメリットが大きい手続きでもあります。特定調停の手続き期間は裁判所の混雑具合も大きく影響します。その為人口密度により異なるのが現状です。
地方簡易裁判所ですと2〜3ヶ月
東京地方裁判所の場合ですと3〜4ヶ月
が平均となります。手続き期間は任意整理より若干短くなりますが、こちらも借金が帳消しになる訳ではありません。従って支払い期間を入れると3〜5年という期間を見越す必要があります。
自己破産 3〜7ヶ月
自己破産とは裁判所に破産申立書を提出し免責許可をもらい、借金をゼロにする手続きを言います。債務整理の中では最も重篤な状況に立たされた債務者が行う最後の手段です。自己破産の手続きを行えば借金が免責(ゼロ)となる為、債務者の状況が重篤なほどメリットは大きくなります。
しかしブラックリストに載り向こう5〜8年は金融商品の利用が絶たれますし、国が一般国民に知らせる事項を纏めた毎日刊行する国家の公告文書「官報」に住所と名前が掲載されてしまいます。その為、自己破産したことが周囲の方に知られてしまうデメリットの大きな手続きでもあります。また自己破産の中でも手続き期間には2パターンあります。
同時廃止の場合 3〜4ヶ月
破産者がめぼしい財産を持っていなかった場合
少額管財の場合 6〜7ヶ月
破産者が99万円以上の現金や20万円以上の価値があるとみられる自動車などを所有していた場合
上記の財産があるかどうかは破砕管財人の判断となりますので、手続きを始めてみなければ分かりません。かなり幅がありますが、自己破産を行う際には3〜7ヶ月の振れ幅があるという認識で臨むと良いでしょう。
個人再生 4〜6ヶ月
個人再生は自己破産同様裁判所に破産の申し立てを行います。ただし自己破産の場合、借金が免責となりますが個人再生の場合には借金を5分の1程度に減額し、そちらを分割して支払わなければなりません。自己破産と任意整理のちょうど中間的な位置付けが個人再生です。
任意整理より減額されるので支払の負担はかなり楽になると言えます。しかし当然ブラックリストには載りますし、支払い能力がないと行えない手続きとなります。また国が自己破産同様「官報」に住所と名前が掲載される為、周囲の方に知られてしまうデメリットがあります。個人再生にかかる手続き期間は約6ヶ月程度と見るべきでしょう。
早ければ4ヶ月程度で済む場合もありますが必要となる書類が非常に多い為、どうしても手続きに時間を要してしまいます。また借金が減額されるとはいえ、最低弁済額は100万円となります。(借入金が100万円以下の場合は全額返済)その為、3〜5年の支払い期間を設け根気よく返済しなければなりません。
すぐに手続きすることは出来ない
どんな債務整理でも半年近くかかる!
上記で紹介したように、どの手続きを取っても半年近くは必要となるということが分かりました。債務整理は短期間では決して行えない根気の要る手続きだということです。また借金がある方は、支払いから逃れたいが為に誰でも自己破産を臨みます。
しかし自己破産は誰でも行える訳ではありません。支払い能力があると判断された場合には任意整理や個人再生などの手続きがとられます。この場合、手続きが終わってからも返済に3〜5年の期間を要するということを忘れてはいけません。
早めの申し込みが大切
借金返済は月々の生活費だけでなく、精神面もかなり削られます。お金がない、終わりの見えない返済を繰り返し行うのは本当にしんどいもの。そして限界の状態で債務整理を申込むと返済は一旦ストップしますが、そこからさらに数カ月という手続き期間が待っています。
肝心なことは支払いに限界を感じたらなるべく早めに法律相談事務所や弁護士に相談することです。借金は債務者の人生を大きく揺さぶる極めて深刻な問題に発展することがあります。鬱に始まり、自殺に至るケースも決して珍しくありません。その前に専門家に相談し、早めの債務整理を行うことをお勧めします。
お勧めの相談先
まずは法律相談事務所がおすすめ
債務整理を行おうとしても、まずどこへ連絡したらよいか分からないという方が多い筈です。そんな時には全国から24時間受付可能な法律相談事務所を選ぶことをお勧めします。現在インターネットから申し込みを行い、現在の状況にあった弁護士を紹介してくれる相談所が幾つか存在します。
- 街角法律相談事務所
- サンク総合法律事務所
- 東京ロータス総合法律事務所
- そうや法律事務所
これらの相談所は全国から問合せが出来ますし、受付も24時間体制となっています。そして何より借金問題のエキスパート達を揃えています。先ずはこういった相談窓口に問合せして、自分にあった弁護士や手続き方法などを教えて貰いましょう。
借金問題はプライベートの極地で、他人にはなかなかいい出しづらいデリケートな部分でもあります。しかし借金問題は相談しなかったが故に小さな問題があっという間に大問題へと発展する恐ろしいものです。無理に我慢せず、困ったらすぐに相談するよう心がけましょう。また、こういった問題に発展しないよう計画的な利用することが何より大切です。